とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
─残念だよ、ウリエル…。お前とはどうやら上手くやっていけそうにない。
火だるまとなった右京を横目にクロノスはフワリと舞い上がる。
その時だった。
『待てや!クロノス―ーッ!!』
炎の塊は突如猛烈な勢いで飛び出したかと思うと、一瞬でイザベラから杖をもぎ取り吹き飛ばす。
そして彼がその杖を振りかぶる頃には炎は消え、驚愕の表情をしたクロノスの頬を思いっきり殴りつけた。
『…話はまだ終わってねぇんだよ!』
杖の柄で時間の神を抑え込む右京からはシュウシュウと煙が上がる。
クロノスはやっと自分が大誤算をしてしまった事に気付いた。
─堕天使ウリエルは“焔の天使”…!
ベルセルクと化していても彼のその能力は健在なのだ。