とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
【第三章】
◇
彼は誰かに呼ばれたような気がしてうっすらと目を開けた。
辺りは見渡す限り真っ白で何も見えない…。
“…だれ?ぼくをよぶのは…”
何も見えなかったが確かに声が聞こえる。
─さぁ、起きて…
“だれなの?”
彼の質問には答えず、声だけがただ響く。
─おいで…さぁ、こっちへ…。
とても優しい声だった。
不思議と自分も“会いたい”という気持ちになって来る。
真っ白な空間を漂い、彼は声のする方へと向かって行った。
─さぁ、おいで…。
……ママの元へ…!─