とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
見馴れない彼の様子に右京は首を傾げる。
『…珍しいな…。ニックが仕事だなんて…』
『そりゃそうですよ。有能な担当者が産休ですから。』
あ~なるほどと頷くと右京は発狂している彼を横目に優雅に紅茶をすする。
『あれだよな…今までどれだけ忍に頼ってたかが良く判るよな…』
『ごもっともです。』
『うるさい、うるさい!クロウ…お前居候するならちょっと手伝えよ!』
『やだよ。俺だって自分の仕事があるんだからっ!』
早く忍の居る日本へ帰りたい右京は、大量の仕事を持ち帰っている。
他人を手伝う暇などないのだ。
バジリスクは仕事を始めた二人の邪魔をしない様にと鼻歌を歌いながらキッチンへと消えて行った。