とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



バジリスクは久しぶりに自分の主の世話が出来るのかと思うと嬉しかった。



別にニックとの暮らしに不満があるわけではない。



彼は優しいし、バジリスクがいつもしている家事なども手伝ってくれる。



だが、彼女はそんな時どうしたらいいのかわからなかった。



人に使われる事には慣れているが、人を使う事には慣れていないのだ。



『俺が手伝いたいんだから気にしないで。』



そう言われても戸惑う事が未だにある。



『あの…何か食べたいものはありますか?』



『なんでもい─』



『魚!…ムニエルがいいな~』



『……』



居候の分際で遠慮がない右京をニックが睨む。



『…おい…』



『あぁ?』



『…お前、自分の立場判ってて言ってんのか?』



『はぁ?なんだよ急に…』



雲行きが怪しくなって来たのを悟ったバジリスクは慌てて二人の間に割って入った。




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