とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




実家に戻って数日が過ぎた。



…やっぱり実家はいいな~…



なんて思ったのは最初の1日だけだった。



「忍。話があるんだが…」



父にそう言われて忍はあからさまに迷惑そうな顔をする。



「…なに…?」



忍には何を言われるかが簡単に想像出来るのだ。



「孫の名前なんだが…」



…ほら来た!



はぁ…とわざとらしく大きなため息を着くと忍は自分の父親を睨んだ。



「男の子だったら“京司”なんていいと思うんだよ。字画も悪くないし、それに─」



「お父さん。何度も言うけど、子供の名前くらい自分達で決めたいの!」



「いや、でも代々うちは男の子の名付けは祖父が決めてるんだ!」



「じゃあ、女の子だったら?」



「女の子だったら“怜”とか─」



「女の子でも名付けするつもりじゃない!」



呆れてそう言うと忍は半眼になる。




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