とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
それでも彼は「なかなかセンスあるだろ?」と悪びれた様子もない。
「毎日毎日…いい加減にして!」
忍に一喝されてガックリと肩を落として部屋を出ていく父。
入れ替わりでやって来た祖父は「どうしたんじゃ?」と首を傾げた。
「お父さんが名付けしようとしてんのよ…。」
「ほぅ…なんて?」
「男なら“京司”で女なら“怜”だって…。」
祖父はカッカッカッと豪快に笑う。
「そりゃいかんな!」
「でしょ!?もうしつこくて─」
「“京五郎”じゃ!」
「………は?」
「男なら“京五郎”じゃ!」
「………。」
さすが親子だと感心してしまうほどのシンクロ率である。
しかも“京五郎”とは…。
「おじいちゃん…センスない。」
忍に一喝された祖父は父同様にガックリと肩を落として出ていくのだった。