とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



きっと忍も寂しがっているだろう。



そう考えながら週末に日本に行く事を伝えようかと考えて受話器を手に取った。



だがややあって『いや、待てよ?』と思いとどまる。



…突然会いに行って驚かせてやろう!



右京は抱き着いて喜ぶ忍の姿を想像して独りニヤニヤとだらしなく笑った。



『遂にボスが壊れたな…』



『最近様子がおかしかったしなぁ…疲れてるんだろ…』



従業員が陰でそんな噂をしていたのを右京は知らない。



だから右京が『5日間ほど日本に帰る』と言い出した時、誰一人として異論を訴えた者は居なかったが、彼はそれを見て『なんていい奴等なんだ!』と感動したのだった。



そうして右京は鼻歌を歌いながら最低限の荷物を手に空港へと向かった。



< 276 / 469 >

この作品をシェア

pagetop