とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~


「ごちそうさま!」



食器を重ねて流しへと持って行く忍を横目に、静が「ちょっと右京!」と声を潜ませる。



「何があったか知らないけど、仲直りしなさい!母さんこんな息苦しい食卓嫌よ!」



「わ、わかってるよ…」



右京は自分も早々に食事を終えると忍の後を追った。



彼は台所に立つ彼女の後ろからシンクへ食器を放り込んだ。



忍はそれをただ黙って洗う。



「…悪かったよ…」



「……右京なんて嫌い。」



「嫌いとか言うなよ…」



ギュッと後ろから抱き締めて彼女の髪の毛に頬を寄せた。



「…俺、忍に会いたくてマッハで仕事片付けて来たんだぜ?」



「知らせてくれなかったクセに…。」



「それは驚かせようと思って…!はぁ…いや、俺がちゃんと言えば良かったよな…」



ごめんと言って忍の髪に口づける。



「なぁ…こっち向けよ。」



忍は水を流したまま右京をちらっと見上げた。



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