とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




翌日右京は、産婦人科に行くと言う忍に付き添う事にした。



「来なくてもいいのに…」



「やだ、行く!だって医者が若い男だったらどうすんの!?」



「別にどうもしないわよ…」



一々そんな事を気にしていたら子供なんて産めないじゃないかと忍は言うが、自分の奥さんの下半身に触れる相手くらいちゃんと把握しておきたかった。



「そういえばイギリスでも初診の時ついてきたよね…」



「うん。あの医者は合格だった。おじいちゃんだし。」



心配性もここまで来るとただ面倒くさいだけだと忍は思う。



「すみません、里帰り出産なんですが…」



受付でそう言う忍を押し退け右京は「あの!」とデカイ図体を乗り出す。



「女医さんかおじいちゃん先生でお願いします!」



「ちょっ…恥ずかしいから黙っててよ!」



「うるさい!妊婦は黙ってろ!これは俺の使命だ!」



そう豪語する右京の脛に蹴りを入れ、忍はにっこり微笑んで「気にしないで下さい」と告げた。




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