とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
涙目でのたうち回る右京に忍は「静かにして!」と言い放つ。
「お前なぁ~…鬼か!?鬼嫁か!?」
「なんでもいいから大人しくしててよね!?」
ただでさえ右京の容姿は日本では目立つのだ。
ブツブツと文句を言いながら右京は待ち合い室の椅子に腰を下ろした。
「はい。これ見て勉強しててね?私血圧図って来るから。」
仕方なしにマタニティ雑誌を捲っていると金髪の少年が右京をジッと見ていた。
『やぁ、坊主も付き添いか?』
右京が英語でそう聞くと少年は嬉しそうに頷いた。
『みんなニホンジンだから、ボクお話出来ないの。おじちゃんはナニジン?』
『こら、おじちゃんじゃない!お兄ちゃんだ!俺も日本人だよ。』
彼は珍しそうに右京を見て母親の方に走って行った。