とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
◇
田所がその男を見たのはお昼前だった。
今週末に行われる創立10周年記念パーティーの会場視察を終え、ロビーを横切っているとき一人の男性が目に付いた。
その男性はロビーに置かれたアンティーク調のソファの前に座り込んでいる。
気分が悪いのかと近付いて「どうされました?」と声を掛けた。
彼はゆっくり振り返って綺麗なグリーンの瞳を向けた。
…あれ?日本人じゃない…?
が、その男性は「あぁ、このソファさぁ…」と流暢な日本語を口にした。
「何処で造ってんのかな…」
「…と申しますと?」
「仕事で今度家具を扱う事になって、こんなデザインいいなって。」
どうやら具合が悪かった訳ではないらしい。
「このホテルのロビーにあるソファは全てイギリス製です。」
「マジ?…製造元わかる?」
「えぇ、調べれば…」
「出来たら調べて貰えるかな?」
そう言ってニコッと笑うと、田所の後方に視線を移した。
田所がその男を見たのはお昼前だった。
今週末に行われる創立10周年記念パーティーの会場視察を終え、ロビーを横切っているとき一人の男性が目に付いた。
その男性はロビーに置かれたアンティーク調のソファの前に座り込んでいる。
気分が悪いのかと近付いて「どうされました?」と声を掛けた。
彼はゆっくり振り返って綺麗なグリーンの瞳を向けた。
…あれ?日本人じゃない…?
が、その男性は「あぁ、このソファさぁ…」と流暢な日本語を口にした。
「何処で造ってんのかな…」
「…と申しますと?」
「仕事で今度家具を扱う事になって、こんなデザインいいなって。」
どうやら具合が悪かった訳ではないらしい。
「このホテルのロビーにあるソファは全てイギリス製です。」
「マジ?…製造元わかる?」
「えぇ、調べれば…」
「出来たら調べて貰えるかな?」
そう言ってニコッと笑うと、田所の後方に視線を移した。