とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「じゃあ、あれは何だって言うんだ?まさか奇形児…」
そこまで言って右京はある疑惑が浮かぶ。
「もしかして…」
「もしかしたら…“翼”なんじゃない?」
「まずい…それはまずいって!」
もはや子供が銀髪であるより一大事だ。
「天使ってどうやって産まれるの?」
「人間と変わらないよ。」
「じゃあ…翼は生えて産まれて来る?」
「いや俺、産んだことねぇし…。でも最初は生えてないはず。」
天使は成長の過程で翼を得る。
最初の一対…地位が上がれば主の神から更に一対が与えられる。
そして最高位の熾天使は三対で、合計6枚の翼になるのだ。
だが、身重の天使は人間のように定期検診など受けない。
お腹の中の赤ん坊の状態など、元天使でも全く未知の領域だった。