とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




ご存知の通り右京は極度の心配性である。



そんな彼がイギリスに帰りたくないと言い出した時、黒崎家の連中は誰一人として驚かなかった。



「いいじゃない。出産まで居なさいよ。ねぇ?お父さん。」



「えっ…そんなに!?」



静の言葉にさすがの京助も難色を示す。



だが、忍の“お願い!お父さん!”と訴える視線に駄目だと即答出来なくなってしまった。



彼はう~んと唸りながらカレンダーに目を向ける。



予定日は12月15日…。



ということは1ヶ月近く会社を休む事になるのだ。



「ちょっとそれは…」



「ジムは何とかなるって言ってたし、頼むよ~」



「しかしなぁ~…」



「こっちで仕事手伝うからさぁ~…」



彼はそう言われて渋々首を縦に振った。



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