とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「シノブ!」
彼から出た名前に一瞬ドキッとした。
「もぅ!探したじゃない!」
彼が“シノブ”と呼んだ女性はワンピースの良く似合うかなりの美人だった。
自分の知っている“シノブ”とは別人で何故かちょっとホッとした。
「…何やってんの?」
「なぁ、このソファ良くねぇ?」
「そうね…素敵だとは思うけど?」
彼は“シノブ”をそこに座らせ、田所の横に立つと「うんうん」と満足そうに微笑んだ。
そして、突然早口の英語で喋り出した。
一瞬何を言ってるのか判らなくて頭の中で考える。
…『君が座ると一層素敵』…みたいな口説き文句だったと思う。