とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
◇
右京は今までこんなに自分が不甲斐ないと思った事はなかった。
これまで色々な出来事に遭遇してきたが、それなりにそつなくこなしてきたつもりだ。
だが今、妻である忍が陣痛に苦しむ姿を前にして、してやれる事が何もないのだ。
それは右京だけでなく、父である京助も例外ではない。
「ほら、突っ立ってないで荷物持って!右京!忍をちゃんと支えてなさいよ!」
二人は母、静に叱咤され、ただ「はい!」と従うだけだ。
この時ばかりは素直に「母さんすげぇ…」と感心する。
そんな右京の傍らで、またもや忍が呻き声をあげた。
右京の腕は忍が思いっきり掴んでいるせいで鬱血気味だ。
「だっ…大丈夫か?」
「…っに言ってんのよ…大丈夫なわけないでしょ!?」
別人じゃないかと思える程豹変した忍に、思わず怯む。
右京は今までこんなに自分が不甲斐ないと思った事はなかった。
これまで色々な出来事に遭遇してきたが、それなりにそつなくこなしてきたつもりだ。
だが今、妻である忍が陣痛に苦しむ姿を前にして、してやれる事が何もないのだ。
それは右京だけでなく、父である京助も例外ではない。
「ほら、突っ立ってないで荷物持って!右京!忍をちゃんと支えてなさいよ!」
二人は母、静に叱咤され、ただ「はい!」と従うだけだ。
この時ばかりは素直に「母さんすげぇ…」と感心する。
そんな右京の傍らで、またもや忍が呻き声をあげた。
右京の腕は忍が思いっきり掴んでいるせいで鬱血気味だ。
「だっ…大丈夫か?」
「…っに言ってんのよ…大丈夫なわけないでしょ!?」
別人じゃないかと思える程豹変した忍に、思わず怯む。