とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



陣痛の間隔は徐々に短くなって来ていた。



「もう少しで病院だからな!?」



額に汗を滲ませた忍は頷くだけで精一杯だ。



病院に到着したが、忍はよろよろとしてなかなか思うように歩けない。



見かねた右京が抱き上げようとすると「痛いから触らないで!」と妖…いや忍に言われ、渋々彼女のペースに合わせる。



「黒崎さんですね~こちらへどうぞ~」



にこやかなナースはのんびりとした口調でそう言うと陣痛室へと彼女を促した。



「あ、御主人以外はご遠慮下さいね~」



「えっ…でも娘が…」



「お父さん!私達は一旦戻りましょう?」




静は右京に「頼んだわよ」と言うと去って行く。



さすがに右京も心細くなり、「あの…」とナースを呼び止めた。


< 306 / 469 >

この作品をシェア

pagetop