とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
彼女は真っ赤になって「バカじゃないの!?」と立ち上がる。
「あら…怒られちゃった。」
わざとらしく肩を竦めると田所を見て笑った。
それがどこか可笑しくて田所も思わず吹き出す。
「田所です」と手を差し出すとその手を彼は握りかえした。
「あとでソファについてお調べします。…ご滞在はいつまでですか?」
「今週末まで。…あぁ黒崎です。」
彼は名刺を取り出すと田所に渡し「電話をくれればいつでもいい」と言って去って行った。
“シノブ”と呼ばれた女性も田所にペコリと頭を下げ、彼を追う。
残された田所は名刺に目を落とした。
「…“Ukyou Kurosaki”…日本人か?」
名刺に書かれた会社は大手貿易会社で、彼はそこのイギリス支社らしかった。