とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
やっと満足したのか、微睡み始めた小さな天使を二人は静かに眺める。
「可愛いなぁ…見ろよ、こんなに手、小さいんだぜ?」
「ふふふ…寝てると右京そっくりね~」
鼻が高く、瞳は右京と同じグリーン…。
心配していた髪の毛は黒だが、所々やはり銀髪が目立つ。
それ以外は普通の人間の子供だった。
「良かった…翼が無くて…」
「痣はあったけど…あれは関係あるのかしら…。」
まるで烙印の様な背中の痣は蒙古斑の一種だと医師は言う。
気にならない訳ではないが、無事に産まれてくれただけで右京は嬉しかった。
「…忍。」
「なに?」
「ありがとう。」
あまりにも右京が幸せそうに綺麗な笑みを浮かべたので、忍は恥ずかしそうに頬を染めた。
そんな彼女の顎に指を添え優しく口付ける。