とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




午後に師範代として道場に行かなくてはならない右京は、赤ん坊を抱きながらため息を着いた。



「行きたくない…なぁ、忍…コイツ連れてっていい?」



「駄目に決まってんじゃない…右京、おっぱいあげれないでしょ?」



「頑張れば出るかもしれない」と冗談をかます右京から赤ん坊を取り上げて笑う。



「名前付けてやらないとなぁ…」



「お父さんが言うには代々男の子には“京”の文字を使うらしいわよ?」



「代々とか…どうでもいいし…。」



とは言っても後でウダウダ言われるのも困る。



「もう、“京(キョウ)”でよくね?」



「…適当過ぎない?」



暫く考えて右京は「ケイ…」と呟く。



「“京”って書いて“ケイ”がいいな…。うん、そうしよう!俺、役所寄ってから行くわ!」



「じゃあまた後で!ケイ、いい子にな?」と忍と赤ん坊に交互にキスを落とすと、右京は慌ただしく出ていった。





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