とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
忍は赤ん坊の頭を撫で「ケイ…」と呟く。
そう呼ばれてケイは微かに笑った様に口元を動かした。
「ふふふ…気に入ったのかしら。」
忍は少し痛む体をケイの隣に横たえた。
ほのかにミルクの香りに包まれ、穏やかな時間がまったりと過ぎる。
ノックの音が聞こえて忍は「はい」と小さな声で答えた。
静かに開いた扉から現れた親友は忍を見て手を振った。
「セリ!嬉しい!来てくれたの!?」
「もちろん!…実は皆も居たりして~」
セリの背後から顔を覗かせたのはクミとアイコだった。
年末の忙しい時期に皆で来て貰えると思っていなかっただけに、忍は素直に喜ぶ。
「きゃあ~赤ちゃん!可愛い~!」
「うわぁ…右京君そっくり…」
「でも、目元は忍っぽくない?」
寝ていたケイが騒ぐ一同がうるさかったのか、もぞもぞと目を覚ました。