とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



ユリはちょっと身を乗り出し声を潜める。



「でね?訴えを起こした母親が子供を手に掛けちゃったらしいの!きっと精神的に病んでたのねぇ…」



「もし本当だとしたら、ニュースになってるんじゃない?」



「あら、なったじゃない!丁度去年の出来事よ?覚えてない?」



「あ~、私イギリスに居たから…」



だが、それらしい事件は記憶にある。



ただ、イギリスで起きる怪死事件の方がインパクトが大きすぎてはっきりとは覚えていないのだ。



当時は気に留めていなかった事件も、母親になった今思い返すとゾッとする。



「いくら取り違えたとは言え、赤ん坊を手に掛けるとか…信じられない…。」



「ホントよね~…」



美味しかったはずの食事が全く味がしない。



ユリはそんな忍にお構い無くその後も喋り続けていた。



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