とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「忍の顔見たし、そろそろ帰るよ。」
「えっ…もう?」
「寝不足だろ?ちゃんと寝ないと…。」
そう言って忍の目元に長い指を滑らせ、「クマ、出来てる」と呟いた。
ケイが産まれ、ほぼ3時間刻みのスケジュールのおかげで、忍はほとんど寝ていなかった。
「母さんが言ってたけど、家に帰ったら全部自分でやらないとだからもっと大変だって。なら、今は少しでも寝ておかないと!」
「…なんか右京じゃないみたい…正論言ってる。」
なんだとー!とおどける右京に忍はクスクスと笑って「ありがとう」と囁いた。
いつもの綺麗な笑みを浮かべ、右京は窓の施錠を外した。
「…って何処から帰るつもり?」
「窓。つか、こっから入ったし。」
「あ、危ないよ!ここ3階だよ!?」
「忍ちゃん…俺を誰だと思ってんの?」
手をヒラヒラとさせる右京に忍はため息を着いた。