とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
彼の後ろ姿を見たら急に寂しさが込み上げ、思わず彼のジャケットの裾を掴む。
「……なに?」
「あ…えっと…寝るまで居てくれる?」
恥ずかしそうに俯きながら言う忍に右京は小さく息を吐いた。
「しょーがないなぁ~…わかったから布団に入って。」
右京は傍にあった椅子を引き寄せ、枕に頭を埋める忍の脇に肘を着いた。
「ごめんね…右京も行ったり来たりで疲れてるでしょ?」
「俺?全然!…そんな心配しなくていいから目を閉じて。」
忍の長い睫毛が伏せられると右京は彼女の髪を撫でた。
暫くすると寝息が聞こえて来て、彼女が眠り着いたのが判る。
「…おやすみ…」
眠る忍の額にキスを落とすと、右京は静かに部屋を出ていった。