とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
◇
行きつけのバーに入って彼の姿を探す。
カウンターでグラスを傾ける田所を見付け、駆け寄ろうとして足を止めた。
彼の隣に褐色の肌をしたロングヘアの女性が見えたからだ。
…自分と待ち合わせているのに、他の女と楽しそうに飲んでいるなんて…!
そのまま帰ろうかとも思ったが、自分にはそれが腹を立てる理由にならない。
恋人同士ではないのだから…。
しのぶは平静を装い、「お待たせ」と彼の隣に座った。
「遅かったな…しのぶ。」
彼は二人の時、彼女を下の名前で呼ぶ。
そして、まるで本当の恋人の様に振る舞うのだ。
…馬鹿馬鹿しい…。
そう思いながらも嫌な気はしなかった。
「私にも一杯奢って貰えるのかしら?」
田所は「もちろん」と微笑んでしのぶにマティーニを頼んだ。
行きつけのバーに入って彼の姿を探す。
カウンターでグラスを傾ける田所を見付け、駆け寄ろうとして足を止めた。
彼の隣に褐色の肌をしたロングヘアの女性が見えたからだ。
…自分と待ち合わせているのに、他の女と楽しそうに飲んでいるなんて…!
そのまま帰ろうかとも思ったが、自分にはそれが腹を立てる理由にならない。
恋人同士ではないのだから…。
しのぶは平静を装い、「お待たせ」と彼の隣に座った。
「遅かったな…しのぶ。」
彼は二人の時、彼女を下の名前で呼ぶ。
そして、まるで本当の恋人の様に振る舞うのだ。
…馬鹿馬鹿しい…。
そう思いながらも嫌な気はしなかった。
「私にも一杯奢って貰えるのかしら?」
田所は「もちろん」と微笑んでしのぶにマティーニを頼んだ。