とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「あれだな…ケイにとってルークはさ、お気に入りのタオルとかぬいぐるみの類いと同じなんじゃねぇ?」
右京が以前そう言っていたが、あながち否定出来ない。
ケイはそれで良くてもルークが可哀想な気がするが、自ら望んでそうしているようにも思えた。
まるでケイの世話役である。
忍は内心「ルークごめんね…」と思いつつもケイが大人しくなるものだからついつい許してしまうのだ。
お腹がいっぱいになったらしく微睡み始めたケイはやっとルークの尻尾から手を放した。
それを確認したように大きな欠伸をして丸くなる黒い塊。
前までならルークを追いやっていた右京も、ケイのお気に入りとあらば邪険に出来ない。
彼は無言のままパタリと布団に突っ伏して寝息を立て始めた。
忍は三人…もとい二人と一匹の微笑ましい姿にクスッと笑って、自分も暫しの眠りに着くのだった。