とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「本来黒崎家では男子が産まれたら当主が名付けるものじゃ!なのにお前は…」
「ならもっとマシな名前考えろ!」
「何を言うか!それじゃワシがセンスないみたいじゃないか!」
「センスない“みたい”じゃねぇ!センスないんだよ、クソじじぃ!」
「誰がクソじじぃじゃーー!!」
もはや稽古なのか喧嘩なのか判らない状態である。
ブンブンと振り回された木刀が鼻先を掠める。
「ワシの大事な孫娘に手を出しおって!」
「忍は俺の嫁なの!手出すのなんか当たり前だろ!?」
「黙れ、エロ天狗っ!!ワシはっ!…断じてっ!…認めんっ!」
右京の脇腹を掠めた突きが彼の足をすくう。
「うわっ…!?」
背中から倒れた右京の喉に師範が木刀を振り上げた。