とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
居間で繰り広げられる激しい攻防に、「うるさいなぁ~」と忍が顔を出す。
「右京がうるさいからケイが起きちゃったじゃない!」
「えっ…あ、悪い…」
そう言った右京の頭に師範の木刀がゴンッ!!と振り下ろされた。
頭を抱えて踞る右京を忍は呆れたように半眼で睨んだ。
その腕に抱かれたケイはきょとんと大きなグリーンアイをしばたかせる。
と、次の瞬間何やらジタバタと四肢を動かし、うーうーと唸った。
─ブワッ…!
「えっ…!?」
「な、なんじゃ…!?」
突然巻き起こる風に一同の動きが止まる。
目の前に何かが無数にフワフワと舞い落ちた。
「黒い…羽根…?」
…まさか…!
「し、忍っ…!」
「なに?」
ソレに気付いていない彼女を指差すが右京は言葉が出ない。