とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「ケ…ケ…ケ…!」
「毛?…おじいちゃんの頭がなに?」
「ちがっ!…ケイが…!」
右京に言われてケイに目を向ける。
クリクリの大きな瞳と猫っ毛なメッシュがかった前髪…そして漆黒の翼…。
…ん?翼?
やっと事態に気付いた忍は暫し呆然としたかと思うとその身体がグラッと崩れ出した。
「あぶなっ…!」
右京は慌てて彼女を支えるが、ケイが忍の腕からするりと落ちる。
「ケイ…っ!?」
咄嗟に片手を差し出すがケイは落ちて来なかった。
「………えっ…」
フワリと宙に浮いたケイはゆっくりと高度を下げ、床から15センチのところでお尻からポフッと落下した。
それに驚いたのか背中の黒い翼が引っ込む。
右京が見ている目の前で、頭が重いケイはコテン…とひっくり返った。
「…う…うぎゃあああぁぁぁ!!」
やっと泣き出した我が子に「そこで泣くんかい!!」と思わずツッコミ入れるのだった。