とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
…適任な奴が居るじゃないか!
「潤。」
突然そう呼ぶ右京の声に反応したように浮かび上がった魔方陣…。
目の前の空間が歪み、そこから黒髪の青年が姿を現した。
「…お呼びでしょうか?」
「お前に重大な任務を─」
「お断りします。」
右京の言葉を遮ってそう言うと潤はにっこりと微笑む。
「…まだ何も言ってねぇじゃねぇか…」
「ケイ様の事でしょう?そのくらい察しが付きます。…残念ながら、ワタクシは子供が嫌いです。」
「おまっ…!俺の子供だぞ!?」
「なら、ご自分で教育なさるのが道理かと思いますが?」
正論過ぎて右京は「うっ…」と言葉を詰まらせた。
「それに…ワタクシより適者が居るではありませんか。」
「えっ…誰?」
首を傾げる忍に潤は「あれです。」と指を指す。
その先に居たのはケイの傍で大きな欠伸をしたルークだった。