とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




ルークは猫ではなかった。



姿形は猫そのものだが、それは人間界においての仮の姿だ。



では、一体何なのかという疑問が浮かぶが、ルークは頑なにその答えを口にしようとはしなかった。



─我ハ、アル方ノ指示デココニイル。



「ある方って?」



─ソレハ言エナイ。



ケイのオムツ替えをしながら忍は「ふ~ん」と相づちを打った。



右京はケイの隣に寝そべってスベスベの頬を突っつく。



ケイはうーうーと唸りながら右京の指に手を伸ばしていた。



それを見てルークは首を傾げる。



─不思議ナ人間達ダ…。



「え?…あぁ、うちの奴等?まぁ、慣れっこなんだろ。」



─怖ガッテ逃ゲルカト思ッテイタガ…。



その呟きにクスッと笑ったのは忍だった。



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