とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「誠?…何か変よ?」
「そうかもな…」
そう言って田所はしのぶの腰に手を回した。
「なぁ…場所変えないか?」
「まさか、ハシゴ!?…明日仕事よ?」
「もう少し一緒に居たいんだ…」
耳元で囁く低い声にしのぶの心拍数は跳ね上がる。
…なに…?なんでそんな風に誘うの?
いつもならストレートに「ホテル行こう」と言うくせに、やっぱり今日は少しおかしい。
内心警戒しつつもそれを言葉に出来なかった。
何も言えない彼女の腕を田所は引っ張って席を立たせる。
「ちょ…待って…んっ…!?」
店を出てすぐ彼はしのぶの口を塞ぎ、軽く唇をなぞる。
抵抗を止めた彼女に田所の熱い視線が絡み付く。
…私もどうかしてる…。
本当に彼から愛されているような錯覚に陥っているのはお酒のせいか…。
そして、そのまま彼の腕に抱かれ、夜の街へと消えていった。