とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



「いいわ…やり直す。」



忍は挑戦的な笑みを浮かべ右京を押し倒すと馬乗りになる。



「なぁ…ものすごく嫌な予感がする…」



そう呟く右京に忍はニヤリッと口角を上げると、彼の履いていたジャージに手を掛けた。



「ちょっ!?…な、なにすんの!?」



「“満足”させてあげるの。濃厚な“キス”で。」



「ダメダメダメ!!そこはダメ!!恥ずかしい!!」



「何を今更…見慣れてるから恥ずかしくないわよ。」



「おまっ!女だろ!?ちょっとは慎めよ!」



「慎んだら右京がやり直しって言ったんじゃない。」



ズボンを引き下げようとする忍と、それを必死に阻止する右京。



ぎゃあぎゃあと騒ぐ両親の隣でケイは全く気にせず眠り続けている。



─スパーーンッ!!



突如勢い良く開いた襖に二人は同時に振り返る。



「喧しいっ!!」



「いてっ!!」



我慢の限界に達して右京に拳を振り下ろしたのは、隣の部屋で寝ていた祖父…師範だった。



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