とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
それから小一時間程続いた説教に、右京は思わず欠伸を溢す。
「こらっ!聞いておるのか!?」
「…っせぇな、聞いてるよ!」
師範の説教はいつも同じだ。
「大人になれ」とか、「節度を保て」とか…。
確かに大人気なく騒いでしまったかもしれない。
だが、節度を保っていないのは忍の方だ。
…裏切り者めっ!
チラッと忍を睨めば彼女はウインクをしてぺろっと舌を覗かせている。
…くそ…可愛いじゃないか…。
いくつになっても忍には敵わないような気がした。
「次は容赦せんからな…覚えてろっ!」
やっと解放された右京は、師範が出ていくと枕に顔を埋めて唸るような声を上げた。