とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
◇
昼間になり陽射しはあっても道場内は悴むほど寒かった。
忍が買い物の間暇を持て余した右京は、ケイを寝かせたクーファンを道内の隅にそっと置いた。
トコトコと後ろを着いてきたルークはケイの足元に飛び乗ると、四肢を畳んで欠伸をひとつ溢す。
湯タンポ代わりに丁度いい。
冷たい床に正座をして精神統一を始めた右京をルークは黙って見つめていた。
ゆっくりと息を吐きながら傍らに置いた木刀を手に取り、剣術の形を確認していく。
辺りに聴こえるのは風を斬る音だけだった。
暫くすると「右京様…」と控え目な声がしたが、あえて返事はしなかった。
潤はそれを気にせず彼に話し掛ける。
「出過ぎた事かとも思いますが…よろしいので?」
「…なにが?」
「ケイ様ですよ。道場などに連れて来て…」
「はぁ?大丈夫だろ…別にケイに稽古の相手をさせてるわけじゃないし。」
潤は「当たり前です」と右京を半眼で睨むとため息をついた。
昼間になり陽射しはあっても道場内は悴むほど寒かった。
忍が買い物の間暇を持て余した右京は、ケイを寝かせたクーファンを道内の隅にそっと置いた。
トコトコと後ろを着いてきたルークはケイの足元に飛び乗ると、四肢を畳んで欠伸をひとつ溢す。
湯タンポ代わりに丁度いい。
冷たい床に正座をして精神統一を始めた右京をルークは黙って見つめていた。
ゆっくりと息を吐きながら傍らに置いた木刀を手に取り、剣術の形を確認していく。
辺りに聴こえるのは風を斬る音だけだった。
暫くすると「右京様…」と控え目な声がしたが、あえて返事はしなかった。
潤はそれを気にせず彼に話し掛ける。
「出過ぎた事かとも思いますが…よろしいので?」
「…なにが?」
「ケイ様ですよ。道場などに連れて来て…」
「はぁ?大丈夫だろ…別にケイに稽古の相手をさせてるわけじゃないし。」
潤は「当たり前です」と右京を半眼で睨むとため息をついた。