とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「い、今のはルークのくしゃみだ…って…聞けーー!」
ブンブンと振り下ろされる木刀を避けながらそう言うも、忍の怒りは最早頂点だ。
しかも独特な太刀の持ち方で、動きが読めない。
脇腹スレスレに繰り出された木刀を掴むと、やっと忍の動きが止まった。
…と思いきや、グルリと峰を返し忍は身を反転させた。
「言い訳はっ…いらない、って…言ってんのよっ!!」
右京は知らなかったのだ…忍が薙刀を修得していたのを。
ゆえに、それが戸隠流だと気付いたのは、みぞおちに強烈な一撃を喰らった後だった。
膝を着いた右京の前に仁王立ちし、ダンッ!と木刀を床に突き立てる。
「少しは父親としての自覚を持ちなさい!」
「…はい…肝に銘じます…」
頭を下げた右京に満足した彼女はケイを連れて颯爽と去って行くのだった。