とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『心配かい?』
『えっ!?…なんで?』
『わかりやすいんだよ、クロウは。』
アランが眼鏡の奥にあるブラウンの瞳を細めると、右京は観念したようにため息をついた。
『正直に言うと、ケイの方は心配してない。』
きっぱりと言い切る右京にアランは驚いた様に一瞬目を丸くした。
『…なにやら理由があるみたいだね。』
そして口角を少し上げて眼鏡を中指で押し上げる。
『聞かせて貰えるかな?』
デスクに肘をつくと両手を口元で手の平を合わせた。
右京はそんな彼の一連の仕草を観察しつつ、一拍置いてからスッ…と人差し指を立てる。
『言っとくけど…ケイは俺の息子だ。妙な考えを持つなよ?』
『もちろん!』
ニコリと微笑むアランに右京は『Okay…』と身体を起こした。