とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『ケイには生まれつき背中に痣があるんだ。医者は“蒙古斑の一種”って言ってたけど、もちろんそうじゃない。』
『なるほど…“翼”だね?』
『そう。背中の痣は天使ならあって当たり前なんだ。翼は成長する段階で生えるから。』
アランは右京の話を『興味深いね…』と呟きながら目を輝かせる。
『ということはそのうちKにも翼が生えるんだね?』
『いや、既にあるんだ…しかも真っ黒な漆黒の翼だった。』
アランは『漆黒…?』と眉を寄せた。
翼が漆黒であるということは、堕天使ということになる。
“堕天”されていないのに何故なのか…。
『…生まれながらにして堕天使なんて、聞いたことがない…』
『ああ、俺もだ。でも、問題は色じゃないんだ。』
白であっても黒であっても、翼が生えるという事自体が“覚醒”を意味するのだと右京は語った。