とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
もしケイが本当に覚醒していたとしたら、何らかの力が使える筈だ。
『で…君の目から見てどうなんだい?』
『そうだなぁ…まだ赤ん坊だしな…あっ!!でも、うちの猫がケイに惚れ込んでるんだよ。』
『……………何の話だ?』
突然会話に猫が出て来てアランは混乱気味に片眉をピクリと動かす。
右京は銀髪をガシガシと掻きながら『話せば長くなるんだが…』と唸った。
『去年、異様な妖気を出す猫を忍が拾って来たんだよ…』
最初は人の霊が乗り移っている猫かと思ったが、それにしては妖気が強すぎた。
そして忍にベッタリに見えたその猫は、実は当時お腹の中に居たケイになついていたのだと判ったのはついこの前だ。
『ただの猫じゃなさそうだね。』
『ああ、あれは間違いなく“クー·シー”だ。』
『クー·シーだって!?』
アランがその名を聞いたのは数年前以来だった。