とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
思考を巡らせるアランに右京はいつもの綺麗な笑みを浮かべた。
『心配ないって!あっちには潤が居る。例えルークがゼウスの手の奴だったとしても下級精霊なんて敵じゃない。』
『ならシノブも大丈夫なんじゃないのか?』
『いや、忍は別だ!アイツはケイが赤ん坊だって事で無茶をしかねない…』
かわいいのは自分も同じだが、忍のケイに対する過保護ぶりは目に余るものがある。
まだ小さな赤ん坊ではあるが、ケイは見た目通りではないのだ。
覚醒された力は未知数で、どの程度なものかも右京ですら計り知れないのだから…。
『やっぱり日本に戻るかな…』
『…クロウ…ひとつ教えてあげようか…』
眼鏡を外して目頭を揉むとアランは呆れたように彼を見る。
『君のシノブに対する過保護ぶりも相当だよ。』
右京はアランの指摘に顔を真っ赤にして恥ずかしそうに弁解するのだった。