とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
そしてその画像を添付して右京に送るのがここ最近の忍の日課だった。
右京はといえばイギリスで多忙な日々を送っているらしく、正直なところ心配だった。
当の本人はといえば、疲れた様子はメールや電話からは見受けられない。
それが彼なりの気遣いだと判るからこそ忍も敢えて明るく振る舞う。
「…パパはそろそろ起きる頃かな?」
時計を見てから忍は“おはよう”とメールを打った。
─“メールを送信しました”
そんなメッセージが携帯の画面に表れると無意識にため息が溢れた。
…なんだかまた“遠距離恋愛”でもしてるみたい…。
実家は居心地がいいけれど、やっぱり右京が居ないのは寂しい。
「…いい歳して私ってば何考えてんだろ…」
自嘲する忍の手元で携帯が震え出す。
…“寝坊した!”
「…相変わらずね~…」
後で電話すると書かれたメールの最後に“忍が居ないと駄目だぁ~”の一文に思わず吹き出した。
「世話がやけるパパね~…ケイの方がよっぽど楽だわ!」
ねぇそう思うでしょ?と問いかけると、ケイは楽しそうに笑い声を上げた。