とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



モジモジとするバージを観察しながらニックはマグカップを手に取る。



『私……子供が欲しいんです。』



ぶぅーーーっ!!とコーヒーを吹き溢し、ニックはゲホゲホと咳き込んだ。



『だ、大丈夫ですか!?ちょっと熱すぎましたか!?』



『いや…ちがっ…て、バージ子供が欲しいの!?』



『はい!だってケイ様のあの愛らしさって言ったら……ああ、どうしたら子供が出来るのでしょうか!』



今度は手からマグカップがズルっと落ちて、ニックはコーヒーをテーブルにぶちまけた。



慌ててふきんでテーブルを拭くバージにニックは真っ赤になって小さく咳払いをした。



『バ、バージ…そういう事はやたらに口にしないように。』



『あら、何故です?』



『何故って……君にはまだ早いからさ!』



『そんな事ありません!少なくともニックよりは長く生きてます!』



確かにバジリスクである彼女はニックよりも数百年単位で長く生きている。



生きてはいるが、そういう問題ではないのだ。



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