とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
睨み合う二人の間にバージはお皿を並べ、右京とニックを交互に見た。
『…どうしたんです?怖い顔して…』
『バージ。』
『はい、マスター。』
『子供が欲しいのか?』
『は、はい!ケイ様のような愛らしい子供が欲しいのです!』
『子供ってのはなぁ…』
右京の言葉にニックは『おい、クロウ!』と身を乗り出す。
それを片手で制して右京は続けた。
『バジリスクは産めないんだ…』
『ええっ!?そんな…じゃあ、私達はどうやって産まれるのですかっ!』
『これだ。』
右京は神妙な面持ちで皿の上にあったロコモコを指す。
『め…目玉焼き…』
『そうだ。お前達はこれから産まれるんだ。』
バジリスクは蒼白になりながらふらつく足取りで寝室へと去って行った。
右京とニックはそれを見て必死に笑いを堪える。
『可哀想じゃないか、からかったら…』
『ククク…暫くあれで黙るだろ。』
そう言って右京は卵の黄身にフォークを突き刺した。