とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
目玉焼きをパクリと一口で平らげ、右京は『ごめんよ、バージ』とわざとらしい泣き真似をした。
そんな彼に苦笑しながらニックは『そういえば…』と真顔に戻る。
『ネットで原稿のネタ探しをしてたら気になる記事を見つけたんだ。』
ニックは散らかった仕事用の机から数枚の紙を右京に手渡した。
右京は最後の一口をモグモグと噛み砕きながらそれに目を通した。
PC画面を印刷したらしいそれには、連続して日本で起こっている事故について綴ってあった。
それによると占星術において日本は今危険な時期らしかった。
『…“日本の治安は崩壊の一途を辿るだろう”…か。』
『占星術が当たってるかは解らないけど、確かにここ2ヶ月だけで事故件数は全米より酷い…。』
そんな事は前代未聞だった。
『2ヶ月前といえば、クロウが日本に戻った頃だろ?…もしかしたら…』
ニックの言わんとする事を読んで右京は『あり得るな…』と呟いた。