とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
忍の傍に自分が居ない事で気配が隠しきれなくなったのだろうと右京は考えていた。
だが、理由はそれだけではない。
『…奴等はケイの力に気付いてる。』
『なっ…!?判ってて何故一緒に居てやらない!?』
『無意味なんだよ。』
右京の言葉にニックは眉を寄せた。
『それはどういう…』
『ケイの力が強すぎるんだ。忍だけなら何とかなるけど、ケイの存在は隠しきれない。』
『だから見放したのか!?』
『そうは言ってない。俺はケイの力を信じてるんだよ。』
右京は余裕とも思える笑みを浮かべる。
『言ったろ?ケイの力は強すぎるって。解放されたら俺以上かもしれない。』
それをコントロールする術はケイにはまだない。
『だから信じる事にしたんだよ。ケイと…アイツをね。』
『アイツって?』
ニックの問いかけに右京はただ微笑むだけだった。