とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




最近の気候はおかしいと忍は思う。



それが地球温暖化のせいなのかは解らないが、昨日あれだけ冷え込んでいたのに今日は異様に暖かかった。



だが、ケイを連れて散歩に行くには丁度いい。



忍はケイが風邪を引かないよう、モコモコにくるみベビーカーに乗せた。



「あら、散歩に行くの?」



「うん。今日は暖かいから丁度いいと思って。」



「じゃあ、ついでに八百屋に寄って来て。大根とにんじん、よろしくね。」



母の静にそう言われ、彼女は「は~い」と返事を返し外に出た。



ケイは興奮気味に真ん丸の瞳を動かし、「あー」とか「うー」とか言っている。



そんな様子に自然と顔が綻ぶ。



「お散歩楽しいね~ケイ。」



忍に答えるようにケイはベビーカーをバシバシと叩いていた。



「何処に行こうか~」とケイに話し掛けながら歩いていると、オイッ!と誰かに呼ばれた気がして振り返った。


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