とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~




“…くそっ!しくじった!”



青年は荒い息を吐きながらビルの屋上に降り立つと、崩れるように片膝を着いた。



ベルセルクの子供、ケイに接触する絶好のチャンスだった。



なのに彼処でアイツと鉢合わせるなんて…!!



その場を離脱するのが精一杯で何の収穫も無かった。



「ああ~~~ヤバいな~」



誰も居ない屋上で青年は大の字で寝転び青い空を見上げた。



少し色素の薄いブラウンの髪を風が揺らす。



「アレに捕まったら最期だもんな~…うーん、どうすっかな…」



眉間に皺を寄せ瞼を閉じた彼は今後の策を練る。



「…ん?」



ふと彼の周りを心地のよい風が包む。



次の瞬間、腹の上にドスンッ!と落ちて来たそれに「うっ…!!」と呻き声を上げた。




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