とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『あら、ごめんなさい?』
鈴を転がしたような透き通ったソプラノボイス。
彼は彼女の声が好きだ…が、今はそんな事を言っている場合じゃない。
『…苦しい…リサ…』
『だらしないわよね~!翼がないとこうも軟弱になるなんて!』
可愛らしい真っ白なニットのワンピースに身を包み、相変わらずの毒を吐く。
『ほら、起きなさい、ヒューガ!』
そう言われてヒューガ…もとい虎太郎はゆっくりと身を起こした。
『今考え事してるから、ちょっと黙っててくれな…いてっ!』
最後まで聞かずに頭を叩かれ、虎太郎はムッと口を尖らせた。
『でもまぁ、相手が悪かったけど惜しかったわよ?』
先刻の出来事を思い出し、虎太郎は『はぁ…』とため息を着いた。