とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ロイは顎を擦りながら『ようするにさ…』と呟く。
『見れればいいんだよな、見れれば…』
『うん…?』
再びロイはキーボードを叩き始める。
DOSの真っ暗な画面を彼が打ち込んだコマンドらしき文字が埋め尽くした。
どんどん流れていくそれを見ても右京には何をしているのか判らない。
『…何をしているんだ?』
『ちょっと衛星を借りるのさ。』
『衛星!?』
『って言ってもただの観測衛星だけど。』
だが、途中で『ん?』とロイが渋い顔をした。
『何か変だ…』
何かにてこずっているようだ。
『…無理か?』
『無理か…だと?はっ!舐めんなよ~俺はペンタゴンだってハッキングした事があるんだぜ?』
『ペンタゴン!?…よく捕まらなかったな…』
『捕まるようなヘマはしねぇよ。俺はこう見えて慎重派だぜ?ちゃんと逃げ道は毎回確保してる。問題はそんな事じゃなくてさ…』
そう話しながらもロイはキーボードを叩く手を休める事がなかった。