とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~





ロイは『ほら、まただ…』とモニターを指差す。



『アクセスが時々却下される…。ファイアウォールは突破してるのに、見えない何かにぶつかってるような…。』



『…言ってる意味が判らないんだが…』



ロイはうーんと唸りながら右京に分かりやすいように言葉を選ぶ。



『例えるなら、ハッキングっつーのはサハラ砂漠に落とした鍵を見つけ出すような作業なんだ。』



ハッカーはそれを探知するプログラムを駆使して探し当てる。



見付け出したら、今度は宝箱を開けるような作業の繰り返しだと言う。



『それが、探し出した鍵を使ってるのに箱自体が錆び付いて開かない…そんな状況だよ。』



『力任せに抉じ開ける事は出来ないのか?』



『出来ない事はないけど、その前にセキュリティに見つかるだろうな。逆探知されてゲームオーバーだ!』



つまり、それ相応のやり方があるらしい。



『ハッキングにも常識っつーか、幾つかのルールがあるんだよ。』



打つ瀬がないと判断したのか、ロイは手を止めて右京を振り返った。



< 410 / 469 >

この作品をシェア

pagetop