とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



その昔、人間は神を崇め奉っていた。



人々は神の声に耳を傾け、神に祈りを捧げる…それが当たり前だった。



だがそれは昔の話。



文明開化を遂げたこの星では神は必要無く、人々は好き勝手にのさばっている。



アルテミスはその愚かさを嫌悪し、いつしか彼等に興味を持たなくなっていた。



“…忌々しい…”



何故自分がこの忌々しい星に降臨しなくてはいけないのか。



そもそも、アポロンがヘマをしたせいだ。



彼がヘマしなければ自分がこの星に降臨する必要は無かったのだ。



“すまない…”



いつもなら自信満々な彼が珍しくそう言って来たのを思い出し、アルテミスは独りフッと笑った。


彼曰く、“計算外の事態が起きた”らしいが、どうせ油断でもしたのだろう。



一応彼の面子もあるだろうと考え、アルテミスは敢えて何も聞かなかった。



同時に思う…自分はアポロンほど甘くないと。



この星の全てを…害虫の様に蔓延る人間どももろとも排除するくらい徹底的にやればいいのだ。


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